土壌には数多くの微生物が生息しています。
有機物を分解したり、野菜の根に共生したり、病気を発生させる病原菌もいます。
その主なものは、細菌、放線菌、菌類などです。
細菌
細菌は原核生物に属し、細胞分裂によって増えます。
生育できる環境は幅広く、200℃の熱水が出る深海や-40℃の極寒の地でも生きられる細菌もいます。また、酸素がないところで生きる嫌気性菌もいます。
土壌中には多くの細菌が生息していて、そのほとんどは生物の遺骸など有機物を分解して栄養を得ています。また、マメ科植物の根に共生して窒素固定を行う根粒菌や一部には植物に被害を与える病原菌もいます。
放線菌
放線菌は細菌の仲間ですが、カビのように菌糸を伸ばし、胞子を作ります。土壌中では落葉などの有機物を分解し、物質循環に深く関わっています。
土の特有の臭いは放線菌によるものです。
また、抗生物質を作るものが多く、医療に利用されています。
しかし、ジャガイモそうか病のように植物に被害を与えるものもいます。
菌類
カビ、酵母、キノコなどがこの仲間です。
カビは菌糸を伸ばして胞子を作り、酵母は菌糸を伸ばさないで単細胞のまま増殖します。キノコは菌糸が集まって胞子を作るための子実体を形成します。
カビは細菌や放線菌よりも有機物を分解する能力に優れ、土壌中の物質循環に最も大きく関わっています。
しかし、植物の病気のほとんどはカビが原因で、農作物に大きな被害を与えることがあります。
酵母はアルコール発酵をするものがあり、アルコール飲料やパンの生産に利用されています。自然の中では、土壌、空気中、海水中など至る所で生息しています。
キノコはリグニンなど難分解性の有機物を分解できる特性があります。
この他に土壌中にはウィルスや原生動物、線虫などいろいろな生物が生息しています。
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